2010年02月01日

稀有なギリアムの愛と友情と奇蹟の映画「Dr.パルナサスの鏡」

テリー・ギリアムという監督は“奇才”としての評価もあるが、
本人自体が非常に物語的な、“稀有”なキャラクターである。
そんな人が創造するからこそ、稀有な世界観が描かれるのだろう。
「ローズ・イン・タイドランド」から4年ぶりとなる
「Dr.パルナサスの鏡」は久々の原点回帰的な様相である。
「バンデットQ」や「バロン」の世界観に通じるような映像は、
もっと言えばモンティ・パイソン的と言える、
ブラックジョーク満載のファンタスティックコメディーである。

ギリアムは、モンティ・パイソンの中で唯一のアメリカ人。
主にアニメーションを担当していたが、
パイソン映画も監督するようになり、監督業が主になった。

パイソン映画以外の処女作が「バンデットQ」。
当時、角川が満を持して放った長編アニメ「幻魔大戦」の
同時上映作品として鑑賞したが、当時13歳のぼくには
かなり強烈なインパクトを与えることとなった。

「バロン」はさらに意表をついたし、度肝を抜かれた。
確かミニシアターぽいところで観た気がするが、
ストーリーをきちんと把握できなかった覚えがある。

実のところ、「未来世紀ブラジル」や「フィッシャーキング」も
同様にファンタジーであり、冒険活劇と言える。
どちらのテーマも現実からの逃避をファンタジーに求めた傑作である。
「12モンキーズ」はある意味、これらの集大成的作品となっている。

異質なのは「ラスベガスをやっつけろ」だろう。
これはハゲ頭のジョニー・デップの怪演が文字通り光る。
ドラッグトリップロードムービーという一ジャンルを
確立した金字塔的作品、と勝手に決めよう。

意外だったのは「ブラザーズ・グリム」だ。
あまりにも普通のお話でギリアムらしさがまったくなかった。
しかし、同年公開された「ローズ・イン・タイランド」が
それをカバーしていると思う。こちらはギリアムらしく
訳がわからない。

しかしながら、“稀有な”という形容もそうなのだが、
ギリアムには“不幸な”という形容がふさわしいかもしれない。
それが「ロスト・イン・ラマンチャ」に描かれた真実だ。
未完の傑作と言われる「ドンキホーテを殺した男」は、
騒音や洪水、しまいにはドンキホーテ役のジャン・ロシュフォールの
負傷により、10年たったいまも未完のままだ。
さらには、今回の「Dr.パルナサスの鏡」にいたっては、
主演のヒース・レンジャーが急逝してしまうという
最悪の事態に追い込まれている。

そうした困難を乗り越えた「Dr.パルナサスの鏡」は、
友情の産物として評価されてよいかもしれない。
ヒースの代役を務めたジョニー・デップ、ジュード・ロウ、
コリン・ファレルの3人と、その友情を纏め上げたギリアムの
演出が、この作品をファンタジー以上のものにしていると、
観もせず豪語したいと思う。
奇蹟的に完成した作品がおもしろくないわけがない。

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原題:THE IMAGINARIUM OF DOCTOR PARNASSUS
邦題:Dr.パルナサスの鏡
監督:テリー・ギリアム
製作総指揮:デイヴ・ヴァロー、ヴィクター・ハディダ
脚本:テリー・ギリアム、チャールズ・マッケオン
出演:ヒース・レジャー、ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレル、クリストファー・プラマー、リリー・コール
公開:2010年1月23日

公式サイト:http://www.parnassus.jp/
posted by Kadwaky悠 at 14:33| ロサンゼルス ☀| Comment(0) | TrackBack(2) | 洋画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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